コンタクトレンズには様々な種類があります。レンズ素材で分類すると、ハードとソフトですが 、機能別に分けると近視用、遠視用だけでなく、乱視のコンタクトレンズや遠近両用コンタクトレンズ もあります。団塊の世代がそろそろ老眼年齢?にさしかかってきました。今後、遠近両用 コンタクトレンズが見直され、普及していくことが考えられます。
ソフトコンタクトレンズ 黒目より大きく(直径14mm程度)、レンズが水分を含んだやわらかいタイプのコンタクトレンズです。ズレにくくはずれにくいため、スポーツをする方に適しています。装用感が良いので、ゴミが入った場合にもあまり痛みを感じられないことが多く、気付かないまま装用を続けると、角膜にできたキズに細菌が付着し、角膜傷害をひきおこすこともあります。 通常のソフトコンタクトレンズはレンズに水分(涙)を含み、その涙を介して酸素を角膜に届けています。そのため、理論的に水の酸素透過係数を超えることは不可能です。ソフトコンタクトレンズの酸素透過性には限界があり、ハードコンタクトレンズの4分の1程度にとどまります。装用感が良いという優れた特徴を持つ反面、このようにハードコンタクトレンズに及ばない欠点もあります。 酸素透過性の大切さ 呼吸している角膜にとって、酸素は必要不可欠なものです。酸素透過性の低いコンタクトレンズの装用を続けていると、角膜に酸素が不足し角膜が厚く腫れる角膜膨潤をひきおこします。角膜表面の細胞が剥がれ、細菌などが細胞の剥がれた部分に接着し、細菌感染をおこすなどのトラブルが発生します。コンタクトレンズの酸素透過性はDk値(酸素透過係数)であらわします。Dk値の高いものほど、角膜に多くの酸素を供給する事が出来ます。 最近は使い捨てのソフトコンタクトレンズが普及していますが、細菌による感染症は相変わらず多く報告されています。汚れる前に捨てるので、感染などおこすのは不思議だと思われるでしょうが、最近の研究でソフトコンタクトレンズによる酸素不足が角膜の抵抗力を弱めていることが分かってきました。ソフトコンタクトレンズを使用する時は、普段の手入れと、長時間入れすぎないことが大切です。 乱視コンタクトレンズ 現在販売されている乱視を矯正するコンタクトレンズはソフトタイプのレンズです。ハードコンタクトレンズはレンズの特性上、乱視の矯正効果を持っています。乱視の強い人がハードコンタクトレンズを装用すると良く見えるのは、コンタクトレンズと角膜の間にできる涙のレンズ(ティアレンズ)が自然に乱視を打ち消しているのです。このような乱視は角膜直乱視と呼ばれる一般に多い乱視の種類です。 逆に倒乱視や水晶体乱視があると、その組み合わせによって、ティアレンズが益々乱視を強めてしまい、ハードコンタクトレンズでは良い視力を得ることが出来ないことがあります。このような時、乱視のソフトコンタクトレンズが便利です。乱視のコンタクトレンズをソフトトーリックレンズと呼んでいます。乱視には、近視性複性直乱視、近視性単性斜乱視、遠視性複性倒乱視、混合性直乱視・・・まだまだたくさんの種類がありますので、ここでは詳しい説明を省略します。 ※使い捨て乱視用のコンタクトレンズもあります。 遠近両用コンタクトレンズ 遠近両用コンタクトレンズは、現在ほとんど市場に出回っていません。レンズの完成度の要因もあったと思われますが、一番普及を妨げていたのは、対象となる消費者がコンタクトレンズに馴染みのない年齢層だったことだと思います。ところが、コンタクトレンズを便利に利用してきた団塊世代がそろそろ老眼をむかえる年齢となってきました。今後、徐々に普及していくと考えられます。 レンズの構造 「交換視型」と「同時視型」の2つのタイプがあります。交換視型はメガネの遠近両用バイフォーカルレンズの構造とよく似た仕組みです。視線の移動によって、遠用部または近用部のどちらか一方を用いて物を見る構造を持っています。交換視型は、遠、近それぞれ専用の光学領域により対象を明視できることが最大の特徴です。問題点としては、遠、近の切り替えで視線移動を必要とするため瞼裂幅の狭い人には不向きであること、光学部の境目で像の跳躍を生じたり、中間距離にピントが合わないという点です。 同時視型はレンズの中心部が遠用部、その周辺が近用部という構造を持っています。眼鏡の累進多焦点レンズの構造に似ています。常に遠くと近くが同時にピントが合っているので、脳が選択したものが自然に見えてくる、という不思議なレンズです。近用の加入度を得るためには、通常の光学レンズと同様、光の屈折作用を利用する方法と、光の回折作用を利用する方法があります。同時視型は、レンズ回転による視力の影響が少なく、フィッティングが比較的容易です。問題点としては、同一光学面に遠用、近用の度数が分布しているため、網膜に達する遠方像および近方像の光量が低下し、夜間の使用には注意が必要です。 |
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